車を売る時は二重査定に気を付けてください。
ひょっとするとはじめて聞く言葉かもしれません。
ならばより気を付けてください。
二重査定とは車を売る時によく発生しがちなトラブルの一つです。
いったいどのようなトラブルなのか。
そして、それを避けるためにはどうすればよいのでしょうか。
二重査定とは
業者から査定で30万円と値が出たとします。
しかし、後になって業者から「よく調べると車の不具合(事故歴・損傷など)が見つかったので15万円にします」言ってきました。
もしも、顧客の方が本当に“車の事故歴や損傷などを隠していた”のなら仕方のないことです。
というより、業者に対して車に関することは素直に話しましょう。
後々になってバレやすく、とても面倒なことに発展しがちです。
ともかく、そうでないなら、顧客に何らの落ち度が思い当たらないなら、やってられません。
・お宅はプロなんだろ。一度目の査定で気づけばいいのに、自分の落ち度を素人の顧客に埋め合わさせる気か。
・この車は中古で買い取ったものだ。前の持ち主の失態・詐称(事故歴)を何でおれが全部肩代わりしなきゃならんのだ。
・もう、お宅には売らん。キャンセルだ。何?規約違反だ?キャンセル料を払え?10万円。お前ら正気か・・・
リアルに悪質な業者は“わざと”これをやってきます。
と言って、こちら消費者サイドとすれば素人。
対応するのはなかなか大変です。
かりに二重査定の差額分の金額的損失からは逃れられても、そのための手間と心理的負担は相当です。
二重査定制度は公的に認められている
一見すると、単刀直入にろくでなしの制度にも思えます。
が、この制度は公的には“一応”認められております。
というのも、業者側から見ると
・エンジンやデフの故障、隠れた修復歴などは出張査定で完全に見極めることはむずかしい
・査定額は車の車種・年式・状態やその時の市場の動向などトータルで見て、決めなければならない。どうしても組織の都合があり、1人の査定員だけで査定額を決めるのはむずかしい。
知らんがな!
ちょっと心の声がもれました。
まず、「瑕疵担保責任」について。
私の場合、いつもおいしいおかしをちょっと想像してしまうのですが、そういうわけではありません。
少しでも民法を勉強したことがあるなら聞いたことがあるんじゃないかと思います。
売買契約で売ったものに(仮に見つけるのがむずかしくても)よくないものが見つかった場合、売り手に責任があるよ、ということです。
まあ、そりゃ、業者としても変なのをつかまされたのですから気の毒ではあります。
ただ、「なんでこっちの責任なの?」と一応毒ついておきましょう。
以下2つについては説明はいらないでしょう。
ほんま、知らんがな!です。
二重査定制度は絶対的に認められるルールではない
と言っても、二重査定なる制度が昔の上様のように、「そこのけそこのけ」の絶対的ルールかと言うとそうではありません。
あくまで公的に認められているのは“一応”です。
そりゃ、顧客側に過失があれば(事故歴・水没歴・メーター巻き戻しなどを黙っている)顧客側に責任があるに決まっています。
まあ、黙っちゃう人がいるんでしょうね。
気持ちはわかります。
ただ繰り返しますが、余計に面倒になるのでやめておいた方がいいです。
係争すると勝てないこともない
はっきり言って理不尽です。
身に覚えのない二重査定を吹っ掛けられた場合、一個人で対応するのはかなりしんどいです。
専門の諸機関などに相談してみましょう。
☆JPUC(日本自動車購入協会)
車買取業者、車査定業者などが一体となって作った組織です。
彼らの目標は「より健全な車売買環境の構築」「一般消費者への安心・安全なサービスの提供」。
そして、二重査定にはことのほか厳しく望んでおります。
☆消費者機構日本(COJ)
消費者被害の未然防止・拡大防止を目指し活動する非営利団体です。
2016年には消費者に替わって提訴をおこなう団体として消費者庁に認定されました。
東京医大の女子試験者への不当な審査、大東建託の申込金無返還、不当な仮想通貨教材勧誘などに対し提訴し、マスコミにも多く取り上げられております。
☆消費生活センター
全国たくさんの地方自治体にあります。
消費者ホットライン188を一度は聞いたことがあるのではないでしょうか。
消費者トラブルの相談に応じてくれ、時に斡旋(あっせん)をおこなってくれることもあります。
二重査定を防止するには
契約書をよく見る
「車引き取り後、減額の可能性あり」のような文言が入ってないか、しっかりチェックしましょう。
契約書に「車引き取り後減額請求することはありません」と書かせる
あるいは、口頭で質問しつつボイスレコーダーに録音しましょう。
大手や信頼性の高い業者とのみ取引
二重査定に会わないようにするには、やはり信頼性の高い業者とのみ取引した方がよいです。
“意図的に”やってくる悪徳業者は中小にまぎれている場合が多いです。
ただケースとしては少ないのかもしれないですが、大手でもやってくるところはあります(ビッグモーターは注意です)。
また、JADRI(日本自動車流通研究所)が運営している一括査定サイト「一括査定.com」を利用する手もあります。
JADRIはJPUCとの連携機関です。
二重査定には大変厳しい対応と評判です。
それでいて、ガリバーやアップルといったよく知られた大手がたくさん参入しており、査定額はわりと高めです。
というよりそもそも業者に売らず、直で個人に売る、という技もあります。
一括査定よりも高い売値(しかもその差額は数十万~数百万の場合もあります)がつくことはなかなか多いです。
特に市場価値の高い車はその傾向が強いです。(市場価値の低い車は手数料が高くてその傾向はだいぶ弱まってしまいます)
↓今、ひそかに実績続々のここです。
また、廃車に関しては二重査定のトラブルはあまり聞かれません。
中古車を売る場合に比べるとどうしても額が小さいです。
しかも、その多くが廃車となってゆきますので、トラブルにまで発展するケースが少ないのでしょう。
しかし、こちらも市場で高い信頼性を得ている業者から選んだ方がよいです。
うちのサイトの名前にも使わせてもらっているカーネクストの場合だと、仮査定から本査定での値下げ自体がそう滅多にありません。
社内制度として「下げないように」担保しております。
どうしても本査定で下がる場合と言うのは、よほどの特殊な例です。
また、↓こちらで紹介する各社もそういう消費者トラブルは聞かない安心感の強い業者ばかりです。
ただし、中古車・廃車かかわらずどこの業者と取引する時でも、あちらのミス、あるいはこちらの思い違い、などによって発生することがまったくないとは言えません。
整備記録をしっかり保管する
車検や修理の時につけた整備記録をしっかりと保管しておきましょう。
クレームガード保険に入る
大手ではビッグモーターとガリバーにこの制度があります。
「引き取った車に後に重大な欠陥が見つかった場合、業者側が減額請求ができなくなる」保険です。
金額の明細はこちらです。
<ガリバー、クレームガード保証>
保証金額は100万円までです。
<ビッグモーター、クレーム安心保証>
保証金額は100万円までです。
あちらは入れただけ得なので、せっせと勧誘してきます。
と言って必ずしも入る必要はありません。
ただし、これら3つの場合にあてはまる場合にかぎり入っていた方が無難でしょう。
② あなたの売ろうとしている車が中古車で買い取ったもので、前オーナーの整備記録がない場合
③ あなたの売ろうとしている車が高級外車である場合
② の場合は前の所有者が事故を起こしている可能性があります。
ちょっと理不尽な気もしますが、後でもめるよりはマシです。
③ の場合は車のタイプがめずらしいので査定員がミスを起こしやすくなります。
こっちもいまいち判然としませんが、やっぱり無難です。
その分、これら2社などにはクレームガード費用分もしっかり加味した査定額を出してもらいましょう。
なんだか航空機代の燃油サーチャージみたいで、消費者にはどうもしっくりこない制度ですね。
査定額ぐらい、素の額を出せよ、と言う感じです。
しかも、超大手なのに。