自動車は世界で乗られています。
ということは当然そこに廃車が存在するわけです。
外国の廃車事情とはどのようになっているのでしょう。
そして、そこから見えてくる世界の廃車の展望とは?
欧米の廃車事情
日本だと「乗用車の走行距離は10万kmまで(最近は技術工場で耐用年数が伸びてきていますが)」と言われることがあります。
これに対し、欧米では1車あたり20万~30万、10年~15年落ちに乗るのは当たり前のことです。
彼らは修理して長く乗り続けるという習慣があります。
ではなぜ日本では彼らに比べ、ほかの車に早く乗り換えるのでしょうか。
その原因の一つとして言われるのが、
・湿気が多く寒暖差の激しい気候で車へのダメージが多いから
言われてみれば、間違いはない、かに見えます。
でも、ふつうに考えて
「日本車ってものすごく優秀だから逆に耐用年数も長いはずなんじゃ・・・」
私たちはそれを当たり前に空気のように思っております。
特に我々日本人と言うのは陸で国境を接しておりませんし、やはり外国と言うのはどこか遠い。
「海外」なんて言葉は私たち日本人以外のどこの国の人たちが使うのでしょうか。
日本政府は古い車に厳しいです。
たとえば、自動車税。
製造後13年を超えると、税額は1.4倍ほどになります。
しかし、これに比べるとヨーロッパの多くの国では、業者がすべての廃車を無料以上で引き受ける義務があります。
特にスウェーデンでは廃車をすると、政府から所有者に補助金が支払われるほどです。
そして、社会全体が古い車にとてもなじみ良いものとなっております。
たとえば、修理費用が安い。
車検だって安くなりますし、国民とすると「乗り続けるメリット」を感じやすくなります。
また、アメリカでは
・ハイウェイに乗ることが多く、車体への負荷が少ない
・自動車維持への税金が安い
ため、走行距離が長かったり、年式が低い中古車でもかなり高く売れます。
果たして、日本式のように環境負荷のない車にどんどん乗り換えていくようにするのがいいのか、あるいは、欧米のように古い車を大事にするのか、どちらがいいのでしょうか。
ただ、ある人は言います。
「本当に環境対策と言うんなら、古い車のパーツを環境負荷の低いものに変えていくのが一番いいだろ」
ちなみに、日本以上に古い車に厳しい国がこちらです。
中国の廃車事情
この国では一定水準以上の古い車は政府により強制的に廃車あつかいです。
2016~2017年には特定の基準の中古車を廃車にした場合「20万円給付」という大盤振る舞いをおこないました。
私も同国には何度か訪れたことはありますが、国家経済の光の部分も闇の部分もそれ相応に感じ取っております。
らしいですね。
環境配慮と実に大胆な景気対策。
中国はアメリカに次ぐ世界第2位の自動車保有台数です。
が、解体業者は最新鋭から手作業のごく簡素なものまでピンキリ。
いまだに天日の下で牧歌的におこなっている業者は少なくありません。
しかし、中国では廃車処理が今後急増するのは明白。
到底今のままでは対応できそうにありません。
その点については、やはりこの国らしい“国家経営”で乗り切るのでしょうか。
ちなみに中国では日本の新車がとても人気があります。
日本の廃車は新興の国・地域などで「高機能」「長持ち」ととても人気がありますので。
しかも、中国の国産車は急激に性能を上げてきております。
となると、今後はその“行方”が気になるところです。
中国国内は貧富の差が激しく、中央と地方の違いは日本の比ではありません。
なので、やりようによっては自国内で吸収・循環することもできます。
が、またやりようによっては大量の余剰を生み出すこともできます。
すると、海外に売り出す。
こうなると戦々恐々となるのはまさに日本の廃車業界のはず。
今、日本の廃車業界はかなりの好景気です。
グローバル化の中で新興国などは「性能がよく」「長持ち」の日本車の中古や廃パーツの組み合わせを求めてやまない状況ですので。
でも、突如として中国の廃車業界が大々的に殴り込みをかけてくればどうなるでしょう。
日本の廃車業者とすれば、彼らを敵に回さずに、逆に自分たちが取り込んでいければまさにウハウハでしょうが、あっちもこんな“おいしい”手駒をみすみす譲り渡すのでしょうか。
そして、ほかの国だって手をこまねいてはいないでしょう。
中国の次に急激に自動車大国化しつつあるのがインド。
2019年において販売台数ではすでに世界4位(出典・参照OICA(International Organization of Motor Vehicle Manufacturers )。
ただ、インドもやはり廃車産業はまだまだ未整備。
今後どうなるかは未知数です。
ロシアの廃車事情
ロシアでは2013年に廃車税制を改め、自国産の車を優遇し、輸入車への規制を大幅に強化しました。
このため日本の廃車業界も大打撃、かに見えました。
が、2018年日本からの輸出先では世界3位。
2019年1~4月も3位(以上参考出典中古車輸出業協同組合(JUMVEA))。
と底堅く推移しております。
世界での孤立を深め、経済的に厳しいロシアには日本の中古車・廃車は貴重な自動車資源です。